みやわきろく

思考のsandbox

退職ドキュメンタリー

 身体表現性障害に伴う休職→休職期間延長→復職→退職と経験してきて、一番大変だったのは最後の退職かもしれない。もしかしたら誰かの役に立つかもしれないので、実際にあった出来事を記しておこうと思う。


体調不良と休職についての記事はこちら


復職と再発

 復職して1ヶ月が経過した頃、わたしは別のプロジェクトにアサインされることになった。システムのリプレイス案件で、サーバの新規構築を伴うためインフラに強いリーダーに来てもらいたい、ということらしい。正直なところマネージャーをやる自信はすっかりなくなっていたこともあり、リーダーならなんとか、と話して参画することとなった。
 最初の頃こそ、久々の仕事ということもありリハビリのような気持ちで無理なく業務にあたっていたのだが、月日が経つにつれだんだんそれも難しくなってきた。

 当時担当していた顧客が、言うなれば「腹を割って話せばいい人なんだけどちょっと口が悪い」というタイプの人だった。毎週の進捗会議でその人が登場し、わたし達に罵詈雑言を浴びせてくる。それがわたしにとっては本当につらかった。
 彼の言うことをよくよく聞けば、筋が通っているのはよくわかる。上層部の立ち回りが悪すぎるせいで彼が被害を被っていることもよくわかる。しかし、当時ようやっと精神の病から復帰したわたしにとっては、彼の言葉のひとつひとつが尖ったガラスのように思えて仕方がなかったのだ。自分のことを言われているわけではないのに、どうしても自分が攻撃されているように感じてしまう。

 結果として、わたしはまた不眠症に陥ってしまった。

 復職したばかりの社員は産業医の面談を定期的に受ける必要がある。わたしはその面談の中で、もう無理ですと正直に話した。3ヶ月も休職してようやく戻ってきたのに、またぶり返してしまうのなら、もうこの職場で働くことは難しい。そう思った。

退職交渉

「体調が戻らないので退職しようと思います」。直属の上司にそう打ち明けてからはとんとん拍子に交渉が進んだ……かのように見えた。
 8月中旬に、9月末付の退職願を上司に提出してから、なんと3週間も音沙汰がなかった。ひとつも。ひとつもだ。(そろそろ問い合わせた方がいいだろうか……)と思い始めたころになって、ようやく人事部から「退職手続きについてのお知らせ」というメールが届き、退職願が一応受理されていたことを知った。

 今になって、これは有給を消化させないための策だったのではないかと感じている。
 当時、休職明けとはいえ4月をまたいでいたため有給が24日、加えて勤続10年のお祝いとしての休暇が5日付与されており、合計29日の有給を細々と消化している状態だった。
 退職願を出した時点でも18日は残っていたはずだった。しかし前述の通り、手続きが滞っているせいで結果的に約10日分の有給を消化できず、買い取りもしてもらえないままドブに捨てるはめになってしまった。未だに恨めしい。
(余談:9月初旬のライブのために有給を使ったが、この件に対してのフラストレーションが溜まりすぎて昼間から公園でストゼロを空けるという暴挙に出た。同行した友人曰く「あのとき、本当に荒れてたよね……」。)
 わたしが退職することも、最終出社日の2日前くらいに皆へ公表されたらしく、引き継ぎがやりづらくて仕方がなかった。誰に引き継げばいいのかわからないのに引き継ぎ作業なんてできるわけがない。(資料だけはさっさと整えておいた。)

退職理由、本音と建て前

 ある転職サイトでアンケートをとったところ、退職理由として本当の理由を話した人の割合は半数を切ったそうだ。

 わたしは退職の理由として、「体調が回復しないため、実家に帰って静養する」と伝えた。これは半分本当で、半分は嘘だ。体調が回復しないのは本当で、実家に帰ることも本当。だが、静養などするつもりはなかった。退職願を出したときにはすでに転職活動を始めており、第一志望(現在の職場)の結果待ちという状態だったのだ。
 周りも「体調が戻らないなら仕方がない」「休職明けだし……」と、退職については受け入れてくれた。しかし、ここにひとつの問題が生じた。

 退職願が受理され退職手続きに入った際、転職先が決まっていればその会社名を伝えると、住民税の特別徴収の手続きを会社が代行してくれる。
 しかしわたしの場合、転職先が決まっていても会社名を伝えることはできない。「静養する」という理由と整合性がとれなくなってしまうからだ。わたしはとにかく辞めたくて仕方がなかったので、後のことまで考えてはいなかった。ここに大きな敗因がある。

住民税は突然に

 それから引っ越しをし、無事に転職先へ入社し、しばらく経ったある日。
 住民税普通徴収のお知らせが我が家に届いた。

 その額、8ヶ月分にして20万円強。

 は、払えなくはないけど……正直ちょっと焦った。今からの切り替えも(年末調整の関係で)難しいということなので、一旦まとめて納めることとなった。ヒェー。

教訓

退職の理由は慎重に検討しよう。