みやわきろく

インタネッツに雑念を放流する

拝啓、絢瀬ナナ様

POIDOL 絢瀬 ナナ様

 お誕生日おめでとうございます。
「POIDOLの絢瀬ナナのファン」としてこの日を迎えられたこと、とても嬉しく感じています。
 昨年の今頃何をしていたか、思い出そうとしてもどうにも記憶が曖昧になってしまっています。モノクロの、ピントのぼけたたくさんの写真の中から、比較的ましな1枚を選ぶような。そんな果てしない作業に身を落とすのが嫌で、写真の入った箱にふたをしてしまっているのかもしれません。

 当時のわたしは趣味だったはずのものでも周りからいろいろと監視され、陰口を叩かれ、素直に楽しめない状態となっていました。その上仕事でもミスが続き(おそらくはもうその頃から病気の陰が見えていたのでしょう)、追い詰められはじめていたように記憶しています。
 そんなとき、あなたの歌を耳にしました。
 当時よく爆発寸前Nightに通っていたのですが、ver.Cはお決まりの曲しかかからず、かといってver.Mでは知らない曲が多い。それならば最近のバンドの曲をもっと聴いてみようとなんとなく思い、YouTubeで「ヴィジュアル系」というすごく大ざっぱなワードで検索し、見つけたのが「アイオライト」でした。

 歌とサウンドに聴き惚れたのはもちろんですが、何よりも歌詞が当時のわたしの胸にぐさりと刺さりました。

掠れた声は "I'm Alright" そんな訳ない
僕は本心 見失った
呑み込んだ声の数 殺していた自分自身

 歌詞の「僕」と当時のわたし自身の姿とがリンクするように思えたのです。いまここでこの曲に出会えたのは偶然ではないかもしれない。そんなことを考えてしまうほどの、衝撃的な出会いでした。

「この歌詞の向こう側にはどんな人がいるんだろう」。
「アイオライト」の動画には歌詞しかなく、当時YouTubeにはこの動画しかアップされていなかったので、みなさまの姿はこの時点ではわかりません。わたしはすぐにバンド名で検索をしました。そして公式サイトやTwitterで見るみなさまの姿に、わたしはとにかく驚いたのです。こんなに若い人たちが、こんなにもいい曲を作っているだなんて。当時のわたしには想像もできないことでした。

 わたしがたくさんのヴィジュアル系バンドに触れていた2000年代のはじめ頃、若手バンドは歌も演奏もあまり良くないものが多く、そのせいでわたしの中には「若手バンドは歌が下手」というイメージがすり込まれてしまっていました。
 しかしわたしが見たみなさまの姿はそうではなかった。若いのに歌も演奏も整っていて、ファンとの距離感もちゃんと保っている。わたしがヴィジュアル系の世界からほんの少し離れていた間に、こんなにもいい変化があったんだと気づかせてくれたのです。

"I'm Alright" 強がりでも
届くように 叶うように 何度も呟く

「今はまだ認められなくても前に進んでいく」そんな思いが溢れる曲を耳にしながら、わたしも現状に負けずに戦いたいと思うようになりました。結果として体調を崩し仕事を休職することにはなりましたが、これまでのわたしにはなかった「退く勇気」もそこで生まれていたのかもしれません。

 わたしがナナさんのファンだな、と意識したのはそれからもう少し後の話になります。
 4/4にリリースされた「エウレカ」の曲たちのうち、「MiMiC」の歌詞が当時のわたしの疑問に寄り添うもののように思え、嬉しくなってペンを執りました。これまで一度も書いたことのなかったファンレターというものを書いて、今の気持ちを伝えたいと思ったのです。

 当時わたしは友人の助けを借りて写真集の製作を行っていました。
 その界隈では「少しでも変わったことをすると晒し上げられ叩かれる」という同調圧力が強く、わたしはそんな状況をどうにかして変えてやりたいと考えていました。そこでわたしはちょっと変化球を投げるような写真集を出すことにしたのですが、案の定どこかで陰口を叩かれていたようです。しかし、それをすべて見なかったことにしました。「MiMiC」の歌詞を通じて、「同調しなければならないという空気を破って、君自身の声で叫べ」と背中を押してくれたように思えたからです。
 そんな気持ちを、POIDOLを知ったきっかけとともに手紙に託しました。文章の記録を取っていなかったので細かい内容は忘れてしまいましたが、いやに熱のこもった文章だったということは覚えています。

 そんな暑苦しい手紙を、スタッフを通じて渡した次のインストアイベント。トークが終わって撮影に入ったとき、ナナさんから「お手紙ありがとうございました」とお礼を言われて、とても驚きました。確かに手紙には「怪しい人ではありません」という意味でTwitterアカウントは記載していましたが、まさかその手紙の中の人と目の前の人を一致させただなんて。しかも何度も丁寧にお礼を言っていただいて、「この人はなんていい人なんだろう」とただ感動するばかりでした。

 それから改めてナナさんのツイートやインタビューでの言葉を見ていると、発せられる言葉のひとつひとつに優しさが込められていることに気づきました。ナナさんが好きだなあと思ったのはこのあたりがきっかけだったように思います。

 それからも、ナナさんはファンに向けてたくさんの優しい言葉を残してきましたね。
 例えば弾丸プロモーションツアーの特典として配られたCD、わたしは勝手におやすみCDと呼んでいるのですが(笑)、あの中で語られていた「自分を殺さないように」という言葉。自分の体が上げていた悲鳴を無視し続けてきたわたしにとって、その言葉はとても深く刺さるものでした。わたしは自分で自分を殺そうとしていたんだ、とそこで気付かされたのです。
 ナナさんはいつかのインタビューで、「自分の言葉でひとの感情を動かせるように」と仰っていましたね。それはきっと、もう叶っていると思います。ナナさんの書かれる歌詞に救われたのはきっとわたしだけじゃない。ライブでフロアの空気に触れていると、そんなことを感じます。

 わたしがPOIDOLに初めて触れてから11ヶ月が経ちます。気づけばたくさんのステージを見てきて、規模も少しずつ大きくなってきて、成長ぶりをただただ驚きながら見る日々です。(と書くと、なんだか親目線になってしまいますね)
 これまでの活動が一筋縄ではいかなかったことも知っています。ステージの裏ではわたしが知っているよりもっと大変なことがたくさんあったのではないかと思います。ですがそれでも前を向いて駆け抜けていこうとするナナさんが、POIDOLのみなさんが大好きです。

 永遠なんてものは存在しません。「一生応援します」なんて軽々しく口にはしません。それでも、わたしが「応援したい」と思う限りはついて行きたいと思っています。だから、いつまでも「応援したい」と思わせてくれるナナさんのままでいてください。それが、この暑苦しいナナギャの一番の願いです。

 改めて、お誕生日おめでとうございます。
 新しい一年が宝石箱のように輝かしいものでありますように。

 それでは、またライブで。

         2018.11.05
         みやわきゆか(@mywk6)